「ソーラーシェアリング・サミット2016 in 上田」 

江戸川ネットでは、昨年、千葉県匝瑳市で実践している「ソーラーシェアリング」を見学し、その後、江戸川区の耕作放棄地や区民農園での実践について提案しました。まだまだ、区内で実践するためには課題もあることから、引き続き環境部会では政策テーマとして考えています。

9月3日(土)、長野県上田市で「ソーラーシェアリング・サミットin2016上田」が開催され、江戸ソーラーシェアリング・サミット1-1川ネットのメンバーが参加しました。

当日は、全国から「ソーラーシェアリング」に関心ある人たち約60人が参加しました。まず、上田市手塚にある水田の上に設置した50KW規模の「空田丸ソーラーシェアリング発電所」を視察しました。約3000㎡の田んぼでは収穫を待つばかりの稲が実っており、その面積の半分に当たる約1500㎡の上にソーラーシェアリングの幅の狭いパネルが並んでいます。このパネルは、インターネット技術を利用し、30分ごとにセンサーで太陽光を感知し、向きを変えていきます。台風など風が強いときは水平に、雪が積もるときは垂直にパネルを動かし、環境の負荷を受けないようにできます。また、より多く発電し、稲も十分に太陽光を受けて育つようにパネルの角度を3パターンで実験をしていることも報告されました。

パネル設置してある田んぼの稲が周辺の稲より少し稲穂の垂れ方が違ってソーラーシェアリング・サミット3
いたので、理由を聞いてみると、このソーラーシェアリングの認可が下りたのが今年3月で、それから電柱の設置などを経てやっと田植えが出来たので、他よりも3週間ほど遅くなったそうです。ただ、生育状況はよく、最終的に1週間ほどの遅れで実っているとのことでした。

見学会の後、近くにある「塩田の郷交流館 とっこ館」で、シンポジウムが行われました。最初の基調講演は、昨年、見学をさせていただいた「自然エネルギーちば合同会社」代表の東光弘さんでした。

東さんは、ソーラーシェアリングの発案者である長島彬さんと一緒に取り組まれたこと、匝瑳市での実践について報告されました。(この内容は2016年2月の江戸川ネットHPで掲載しています。)

その後、東さんを交えて、さまざまな形で「ソーラーシェアリング」に取り組んでいる事例報告と意見交換会がありました。

まず、「ソーラーシェアリング」の発案者の長島彬さんからは、太陽光発電の中で、あらゆる角度から

合原亮一さんから説明を受ける参加者

合原亮一さんから説明を受ける参加者

研究したうえで最も優れている「ソーラーシェアリング」について詳しい説明がされ、その後、午前中に見学した「(株)有機農園」合原亮一さん、「ソーラーカルチャー(株)」松岡顕さん、「NPO法人上田市民エネルギー」藤川まゆみさんたちからは、どれも魅力あふれる報告がありました。

長島彬さんは、今までのソーラー発電は自然を破壊し天災に弱いメガソーラーであり、風、雨、雪に弱いとことを示した写真で説明され、災害で崩れたメガソーラーを見せてくださいました。これからの理想となるソーラーシェアリングの目的を、①自然災害に強くしなければならなく、自然を破壊しない自然と共生すること ②太陽光発電の用地を飛躍的に拡大すること ③土地の主体的利用をすることで、今まで面でとらえていた土地をこれからは3Dで立体的にとらえて利用すること(駐車場、公園など)

シンポジウムの中で、藤川さんより参加者に、「実際にソーラーシェアリングをやってみたい方は?」との問いかけに半数以上の方が手を挙げ、それぞれが具体的な質問をされていました。

23区内では農地(生産緑地)が比較的広く残っている江戸川区は、今後に向けて後継者問題や農地の転用で農業生産者が減少していくことが予想されます。農業を営みながら売電収入も得られるという利点、また自然エネルギーを広げ環境にも貢献できる取り組みとして、ソーラーシェアリングの実践が可能になるよう、行政だけでなく農業生産者や市民に向けても働きかけをしていきたいと考えます。