「3.11原発震災以降を私たちはどう生きるか」

「第2回核・原子力のない未来をめざす市民集会@台東」報告

東京・生活者ネットワークが協賛団体となっている本集会には、予約申し込みをされた700人の方々が、受け付け開始1時間以上前から続々と来場。スタッフとして関わった江戸川ネットのメンバーも朝から会場設営や受付業務などに追われました。

講演者は、サイエンスライターで元原子炉圧力容器設計技術者・田中三彦さん、子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク代表・中手聖一さん、そして、原子力安全問題研究者で京都大学原子炉実験所助教・小出裕章さん。放射能に関して、それぞれの立場から現在の日本の置かれている状況を正確に伝え、収束に向かわせるためのキーパーソンとして注目される方々が一堂に会する集会とあって、産業展示場に椅子を並べるという、会場としての条件は決して良くなかったものの、参加者の方々は4時間以上にわたり熱心に聴き入っていました。若い保護者やカップルの姿も多く見られたのが印象的でした。

田中さんのテーマは「福島第一原発で何が起きているか」(中継はこちら)

「少なくとも第一号機は地震発生時に原子炉系配管が冷却材喪失事故を起こした可能性が極めて高い」「格納容器の圧力が設計圧力(0.4MPa/約4気圧)を一気に大きく超えたのはなぜか、これが最大の謎」とし、その理由を「福島原発1〜5号機で使われている『Mark-Ⅰ型格納容器』はすでに70年代前半に米GEの技術者から欠陥容器として指摘されてきた。水力学的動荷重によって引き起こされる圧力抑制室の構造強度の問題や抑制機能喪失の問題が、この件においての未解決の問題であるが、今回の場合は、これに地震動が加わったことでさらに問題が深刻に」。この結果「水蒸気の堆積凝縮が起こらず、格納容器の圧力が0.74MPa(約7気圧)まで上昇した、というのが最大の謎の答え。」

「しかし、東京電力が発表したシミュレーション解析は、こうした解析もしたはずでありながら、『超特急メルトダウン』という国民をあざむくもの。なぜか? 地震動を解析に扱えば、地震を問題視したことになり、全国で10ある同型の格納容器がただちに大問題となってしまう。重要な配管が地震動で破損し、その破損部から冷却材喪失事故が起きたとなれば、地震国日本の原発の安全性を根底から揺るがす深刻な問題となり、津波対策と電源対策を現原発の運転再開・継続の条件とする政府の基本方針の見直しを迫られてしまうから。」 “想定外”で片付けるためなら何でもありの「東電シミュレーション解析」=「だましのテクニック」が展開されました。

小出さんは「核=原子力の本質〜原子力発電で私たちが知っておきたいこと」についてわかりやすくお話しされました(中継はこちら)が、その中で、今は亡きRCサクセションの忌野清志郎さんが「騙されちゃいけねぇ」と、メッセージソング「サマータイムブルース〜LOVE ME TENDER」を歌っていたことも紹介、その映像も披露されるという粋なはからいも。いっとき、さながらフィルムコンサート会場となりました。前半は音声不良でしたが、後半はバッチリ。

中手さんは、福島の現状を率直に語られ、深刻な環境に置かれながらも「せめて子どもたちに顔向けできる行動を」と、冷静な判断力で地域活動を続けていらっしゃる内容を話されました。会場で募った「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」へのカンパ総額は、488,032円にのぼり、中手さんに手渡されました。

*お二人の講演内容については、新村堀場稲宮のHPをご覧ください。