江戸川・生活者ネットワークの成果

 江戸川で生活者ネットワークを立ち上げる大きな原動力になったのは、1989年春に行われた「東京都に食品安全条例の制定を求める直接請求運動」でした。チェルノブイリ原発事故からまだ数年しか経っておらず、輸入食品に対する不安や魚の養殖による海洋汚染問題などが報道されていた頃です。当時の都議会には、生活者ネットの議員として池田あつ子が入っていて、議会のなかで食品の安全や飲み水の問題などに関する提案を行っていました。しかし、生活者の立場に立った議員は少なく、実のある議論がなかなかすすまない状況もありました。この直接請求は、法定必要数の3倍の55万3234筆も集まり、都議会に諮られることになりました。私たちは1989年7月に予定されていた都議会議員選挙で、「食品安全条例」を争点とすることを選択し、生協の理事だった女性を有志で推薦しました。彼女はトップで当選し、2期目の池田あつ子とともに都議会で食品安全条例を通すために活躍してくれました。条例自体は否決されたものの、東京都の食品安全行政は大幅に前進したのです。(その後も東京都の食品安全行政については、生活者ネットワークは繰り返し提案しつづけ、昨年、ようやく「東京都食品安全条例」が制定されました。)
 市民による条例提案、私たちが応援した議員の議会での活動を目の当たりにし、「政治は生活を豊かにするための道具」であることを実感しました。直接請求運動の翌年、江戸川・生活者ネットワークを立ち上げ、1991年の統一地方選挙で、初の江戸川区議会議員を誕生させました。身近な区議会に自分たちの仲間を送り出し、市民が自治する社会をめざして活動しています。

 江戸川区議会で、すぐに実現させたのは予算・決算を審議する特別委員会の一般傍聴です。「大事な予算を審議する場に区民を入れるのはいかがなものか」などと言う保守系議員の意見には驚いたものです。その後、学校給食の食器のメラミンから強化磁器食器への変更、庁舎で使用していた有機リン系の殺虫剤を危険性の少ないものに変更、フロン回収事業の実現、配食サービスの充実など、政策を実現してきました。それとともに、政策決定の場に広く区民を参加させる手法を提案しつづけ、審議会への区民公募での参加を実現。また地域で活動しているNPOなどへの支援を行ってきました。

 生活者ネットワークの運動は、議員を議会に送り出すことが目的ではなく、政治を市民に取り戻し、議会や行政を変えていくことです。そしてこの活動の中でめぐり合えた、たくさんの地域の人たちの力は「宝物」です。そうした市民力、地域力を支える行政や議会にしていくために今後も活動していきます。
 「働く・育てる 市民力」をスローガンに、都政にも取り組んでまいります。