江戸川区議会第一回定例会報告③

具体の判断材料なき、スーパー堤防事業と一体の「区画整理施行規程」に反対

 今回上程された北小岩地区の区画整理事業は、国会の予算委員会でも見直すべき事業との質問が相次いだスーパー堤防事業と一体のものです。スーパー堤防は、まち全体を土盛りし、まちそのものが堤防の役割を果たすという大規模な事業。土盛りした街区で行う区画整理事業が区の事業となるので、今回の上程となりました。
 本規程には、施行地区や事業の範囲、土地区画整理審議会に関すること、費用負担などが盛り込まれます。しかし、たとえば費用負担について、規程にあるのは「費用は区が負担する」ということのみ。国や都からの補助金も含め、費用の詳細は事業計画で明示されるのですが、その事業計画の提示はありません。詳細が明かされないままに議決はできないことから、情報提供を求めたところ、事業計画案の概要が出され、わずか1.4ヘクタールの総事業費は47億円との資金計画が示されました。
 しかし、公共事業に関する国庫補助金は2010年度に原則廃止が決まっています。今後は既存の交付金とあわせ、2.2兆円の枠で新たに社会資本整備総合交付金が創設されますが、その詳細は未定であり、今回示された補助金はあくまでも従来の算定に則った見込みに過ぎません。また現在「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が国土交通大臣のもとに置かれており、ダムや堤防など治水事業の新たな方向性が示されるのは夏以降であることから、現時点で計画どおりすすめる判断をするのは、今後の方針と財源確保の面からもリスクが大きいと考えます。さらに、この期に及んでも住民合意の到達度が示されていないことは問題です。昨年から、地権者88名の同意・不同意について資料請求していますが、今回も、そういう聞き取りはしていないので答えられない、という回答でした。
 私たちの調査では、地権者のうち、すでに17名は住み慣れた土地を離れ転居したことがわかっており、残り71名のうち28名もが明確に反対。しかもこの方々の所有地は当該地の55%を占めています。たとえ施行規程が可決されたにしても、このような状態で肝心の換地処分ができるのか、事業完成に至ることができるのか、大いに疑問です。
 以上の考えに基づき、少なくとも推進に向けて動く時ではないとの判断から、施行規程に反対しました。