3期目の選択について

生活者ネットワークは議員を職業化・特権化せず、交代しながら、市民の政治参加の裾野を広げていくことをめざしている市民の政治ネットワークです。「江戸川・生活者ネットワーク」の議員は原則2期8年で交代し、交代後は、市民活動などにその経験を活かし、議員経験者を次々に生み出すことで、政治家任せ、行政任せにしない市民を増やす運動をすすめています。1991年からこれまでに7人の女性議員を生み出してきました。

「生活者ネットワークは地域に根ざし、生活者の視点で発言できる市民を自治体議会へ送り出します。議員を職業化・特権化せず、交代しながら、市民の政治参加の裾野を広げていくことをめざしている市民の政治ネットワークです。」(「よびかけ」より)

江戸川・生活者ネットワークは、1991年に初めて区議会議員を誕生させて以来、2期8年を独自の任期制限としてローテーションを行ってきました。その理由は次にあげることです。

  • より多くの市民を議会に送り出し、新たな生活者の視点で議会や行政の仕事をチェックできる。
  • 議員を長く続けることで生じがちな行政との癒着をなくす。
  • その人の人生を議員として長く拘束しないと同時に政治に関わる市民層を広げる。
  • 当時は地方議員を3期12年務めると議員年金という多額の税金がつぎ込まれる優遇された議員年金制度があり、これに反対していた。3期とした場合、この年金を議員経験者だけのものにしていいのか、かといって、年金支給時・後まで江戸川ネットとして関与・管理することができるのかを議論。年金問題が生じない体制をとった。

しかし、今回は候補者の選考過程でさまざまな問題にぶつかり、ローテーションにつなげることができませんでした。

生活者ネットワークは、男性議員が圧倒的多数を占める議会に、女性議員を増やし、その視点を活かすことで、生活を豊かにしていくことをひとつの目標にしてきました。しかし、今日、フルタイムやパート労働で仕事に就く人が増えている現状が、一方で女性が議員を選択することを困難にしているという事実があります。さらに、女性が議会に出ると決意したときの家族の反対、社会における男女の役割分担の考え方が若い人たちにも今なお歴然としてあることを改めて突き付けられもしました。また、議会という場がまだまだ市民に開かれておらず、特別なものであるという認識が根深いものだと実感しました。32年間、2期8年のローテーションを続けてきて初めて経験する大きな壁でした。この間の江戸川ネットの活動、取り組みが十分であったのかを振り返り、決定の場への直接参加の層を広げるという本来の目的達成のために、活動を再構築していかなければなりません。

江戸川ネットとして議論を重ねた結果、このたびは伊藤ひとみ、本西みつえの二人が3期目に挑戦することとなりました。とはいえ、議員を職業化・特権化しないという考え方は確固たるものであり、どのようなことがあっても変わらないものであると確信します。

生活者ネットワークの3つのルールのひとつが「議員の交代制」ですが、その他の2つのことも重要です。選挙はすべてカンパとボランティアで行い候補者本人はいっさい選挙費用を出すことはありません。また、議員になった場合は、候補者となるときに交わした生活者ネットとの契約に基づき、議員報酬を生活者ネットの運営や市民活動のために寄付します。この3つのルールを実行するからこそ、普通に暮らす市民が議員になれるのであり、議席は個人だけのものではなく「市民の議席」と言える由縁であると考えます。