「緊急事態に関する国会審議を求める意見書」に対し、反対討論を行いました。

私たち、生活者ネットワークは第38号発議案「緊急事態に関する国会審議を求める意見書」に対し反対の立場から討論を行いました。討論の内容は以下のとおりです。

 

まず、議会運営委員会理事会で、議論の末、1度は否決されたものが、急遽上程されることに至った経緯が、不明瞭であることを申し上げ、討論に入ります。

この発議案は、議会運営委員会理事会で一度否決されたものですが、理事会メンバーの1人から会派としての賛否ではなかったという申し出があり、臨時の理事会が開かれ、賛成多数となり、急遽上程されたものです。最終日本会議の開始が夕方4:55になったのは、何度も理事会が開かれたためですが、この会議は公開されておらず、区民のみなさんへの説明は一切ありませんでした。

第1に、この意見書案は、新型コロナウイルス感染症や今後 高い確率で起きると言われている大地震などの自然災害を例に挙げ、地方自治体の機能停止や特別措置法などには限界があると述べています。しかし、新型コロナウイルス感染症については、平時の医療に関する法律や緊急時の新型インフルエンザ等対策特別措置法などによって対処することが可能です。また、災害について、災害対策基本法では、都道府県知事に施設管理・物資の保管・収容命令などがすでにあります。設備物件の除去、土地や工作物の一時的な使用などもすでに法が整備されています。東日本大震災のあとで、被災3県の自治体に行ったマスコミの調査では、緊急事態条項が必要だと答えたのは、1つの町のみでした。仙台市市長は、「緊急事態条項だと、被災地では中央が決定するまで待つことになる。貴重な時間のロスになる。自分たちの一番回復したい日常を知っているのは地域だ。」と、回答しています。ほとんどの自治体が緊急時には、現場に密着している自治体にもっと権限を与えてほしいという意見でした。

第2に「緊急時に国民の命と生活を守るための施策と法整備、根拠規定たる憲法について議論に取り組むこと」とありますが、施策や法の整備はともかく、根拠規定たる憲法とは、国民主権・基本的人権・平和主義を原則とするものです。議論のかじ取りによっては、国会や内閣に権力を集中させてしまい、個々人の人権が大きく制限される可能性を生じかねない危険性があります。先に挙げたように、感染症対策や自然災害にはこれまでの経験を活用し、あらかじめ平時から個別法を制定して対処できるものです。それらをわざわざ憲法の条項に加える議論をすることを、主権者である国民からではなく、国から喚起することを求める必要はないと考えます。

最後に、憲法は国民1人ひとりの権利と自由を守るために、国家権力に対して枷(かせ)をかける役割をしているものです。緊急時を口実にして、国が宣言しさえすれば、権限を集中させることが可能になりかねない状況を生み出してしまいます。憲法三原則を脅かしかねない議論にもつながることには、反対です。

私たちは、江戸川区議会として改憲論議を国に求めることには反対いたします。