子どもたちへの感染を未然に防止するべきではないのか?! パラリンピック学校連携観戦中止の要望
報道でもあるように、東京都、国、国際パラリンピック委員会、東京2020組織委員会、の4者は学校連携観戦については、共生社会の実現に向けた教育的要素が大きいと実施の方向に踏み切りました。東京都の教育委員会では5人の委員のうち欠席で意見を提出した一委員以外の4人が反対したにもかかわらず教育委員会に決定権がない事項であるということで、都は実施することにしています。
共生社会の実現に向けた教育的要素はパラリンピックを見ることで育つのでしょうか?障害を持つ選手の頑張りを観戦することで、ハンデをもった人たちがどういう思いをしているかということを考えるきっかけになりうることは否定しません。しかし、共生社会を実現するためには、普段からの教育こそが重要で、国を挙げての行事を観戦することが果たして本当に子どもたちに役にたつのかは甚だ疑問です。
区は、通常の学校行事と変わらないと言います。要望書の提出にあたって、感染するかもしれない根拠を挙げるように言われました。しかし、感染対策は万全で、学校に通うのと変わらないという区は、子どもたちが安全で感染しないという根拠も挙げられないのではないでしょうか?小学生の子どもたちはワクチンの接種はできません。家庭内で無症状の家族がいても本人が無症状ならわからないのです。夏休みに入り、これだけ小中学生に感染が広がっている現状での、学校連携観戦は中止すべきだと緊急要望書を区長と教育長に提出しました。
要望書の全文は以下のとおりです。
2021年8月18日
江戸川区長 斉藤 猛 様
江戸川区教育長 千葉 孝 様
江戸川・生活者ネットワーク
伊藤ひとみ
本西みつえ
【パラリンピックの学校連携観戦の中止を求める緊急要望書】
8月16日、国際パラリンピック委員会、東京2020組織委員会、東京都、国の4者は、学校連携観戦については、共生社会の実現に向けた教育的要素が大きいと保護者の意向を踏まえたうえで、自治体や学校が希望する場合には観戦を実施できるとしました。これは、現在子ども達の感染が拡大している状況であるなか、安全を軽視したものと言わざるをえません。
組織委員会が各学校と競技会場の間でバス送迎を行うなど、感染防止が徹底できる環境をつくることが可能だと判断したとありますが、暑い時期に競技会場に子どもたちが団体で行くことに変わりはありません。熱中症のリスクに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大は収まらず、東京都では医療崩壊の様相を呈している現在、安全・安心な観戦が保障できる状況にはありません。
保護者には、突然決まったこのパラリンピック学校連携観戦について、学校から具体的な情報を得る時間もなく、学校も児童・生徒、保護者と一緒に考えることはできず、不安を広げることにつながります。また、小学生はワクチン接種できない状況にあること、日々子どもたちに接する職業であるにもかかわらず、教員のワクチン接種は進んでいない今の状況で引率することの危険性もあります。
共生社会の実現に向け、教育的要素が大きいと判断しているのは、おとなたちです。パラリンピックの観戦は、考えるきっかけになり得ることは否定しませんが、共生社会については、日ごろの教育でこそ必要なものです。新型コロナウイルスへの感染の危険性を含め、パラリンピックの観戦への判断は各自治体に委ね、各学校の希望者にということになっていますが、責任の所在を曖昧にしており、問題だと言わざるを得ません。
実施に際しての不安や期待について、子どもたちや保護者と話し合うこともせず、多くの都民の懸念をよそに、パラリンピックの学校連携観戦が行われようとしています。
江戸川・生活者ネットワークは、子どもたちの感染防止を優先し、オリンピックの学校連携観戦を中止したと同様に、パラリンピックの学校連携観戦を中止するよう要望します。