「すくすくスクール事業条例」について、江戸川ネットは反対討論を行いました

  第三回定例会最終日の28日、江戸川ネットでは、新村いく子が 「すくすくスクール事業条例」について反対討論を行いました。討論の全文は次のとおりです。

第74号議案に反対の立場から討論を行います。その理由は、この条例が制定されることによって、名前は同じ学童クラブ事業でありながら、これまでの「学童クラブ事業条例」にあった「児童福祉法の規定に基づき」という重要な文言が削除され、児童福祉法の根拠を持たない条例として作られてしまっているからです。児童福祉法において「放課後児童健全育成事業」は、「適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業」とされ、今回廃止される「7学童クラブ事業条例」では「生活指導等を行う」ことが明記されていました。また、「放課後児童健全育成事業」は児童福祉法と連動する、社会福祉法においても、第二種社会福祉事業として明記されており、本事業に福祉の視点は外せないことは明らかです。 

初めに申し上げますが、私たちは「すくすくスクール」は、保護者が働いている、いない、という家庭環境に関係なく、学年を問わずみんなで遊んだり、活動したりできる場、また、親と先生以外の大人たちと触れ合う経験ができる場でもあり、子どもたちの育ちにとって、たいへん意義のある事業だと考えています。 

教育委員会は、昨年の会議において、何度か児童福祉法にある「生活の場」という考え方について議論してきていますが、結局、学童登録の子どもたちと一般登録の子どもたちを分けるのではなくて、ともに放課後を過ごせるような形で全員受け入れ、そこで過ごす中に遊びもあれば、生活もあるということで、「生活の場」は確保できているという考え方になっています。はたして、児童福祉法にある「生活の場」というものは、そういうものなのでしょうか? 

厚生労働省は「遊び及び生活の場」とは、児童にとって安心・安全であり、静かに過ごせる場をいうとしていて、特に補食に言及していないと教育委員会は言います。しかし、学校で子どもたちが授業を終えた後、すくすくスクールでほっとするひとときこそ必要です。そして、特に低学年にとって、補食もその大事な要素であり、栄養補給の面からも重要なことは言うまでもありません。お昼に、給食を15分から20分くらいで終えたあと、帰宅するまで水だけで過ごす子どもたちの日常が、当たり前の生活だとは思えません。給食1回で充分に量の摂れない子どもたちの現状や補食の必要性について委員会や特別委員会で何度も意見を申し上げてきました。「分け隔てない」ことを教育委員会は仰いますが、登録の時点では、一般登録と学童登録とを明確に分けているにもかかわらず、5時までは「分け隔てない」として、ひとくくりにしてしまっています。人は1人ひとり違うのです。体の大きい子どもと小さい子、食欲が旺盛な子、食の細い子、いろいろ違ってていいのです。ですから、補食の必要な子どもたちは補食を摂る、これが生活指導であり、この違いを教えることも教育です。 

「分け隔てない」ことに関しての、矛盾を具体的に、指摘させていただきます。

教育委員会は、個別に相談に応じる体制はあるということで、補食に関するすべての陳情を不採択にしました。まず、個別に相談に応じることを広く周知せず、申請してきたら、応じるというのは公平性に欠けるのではないでしょうか。ある体の大きなお子さんがどうしても帰宅までおなかがすいてもたないので、学校のすぐ近くにあるパン屋さんと保護者が話し合って、そのお子さんは一時的に学校の外に出て、お店でパンを食べてまた学校に戻るということをしていた年がありました。たまたま、学校の近くにお店がある環境にいるお子さんでした。置かれている環境の違いで、それができるお子さんもいればできないお子さんもいます。現場が、柔軟に対応できる状況をとったことはよいことであると思いますが、これは、「分け隔て」にはあたらないのでしょうか。 

また、この条例では学童登録児童には4,000円の育成料を課しています。決算特別委員会では、すべてが学童クラブ事業の運営費に充てられるということでした。しかし、夕方5時までの一般登録の子どもたちは無料です。連絡ノートも毎日全員にということがなくなった今、学童登録児童との違いは、分け隔てがないのなら、6時までの1時間の保育だけということになります。たとえば、江戸川区と同じように、放課後子ども教室と学童クラブ事業を合わせた板橋区では、板橋区版放課後対策事業「新あいキッズ」において、5時まではすべての子どもたちが無料、5時から6時までの延長保育は月2,700円、5時から7時までは3,900円という設定をしています。補食もあります。板橋区では、「児童の安心・安全な居場所の確保」「子どもたちの健全育成」「保護者の就労等と子育ての両立支援」という機能は新制度にも引き継ぎます。1から2年生の児童には、午後5時までの利用であっても出欠・帰宅時間の管理を行います、と説明しており、区のホームページでも公表しています。 

「すくすくくスクール」が始まった当時、区は、学童クラブはこれまでと変わりません、と明言しました。当時の学童クラブの保護者たちも、区のその姿勢があったからこそ「すくすくスクール」への移行を受け入れたのです。つい先日も教育委員会は、議案審査で同僚議員の質問に答えて、今までの学童クラブとなんら変わりない、むしろサービスは向上すると仰いましたが、それが6年生まで受け入れて定員を拡大し、学童クラブの待機児をなくしたことだけをさすのでは、質の向上にはつながりません、学童登録の子どもたちにとっては帰る家でもある「すくすくスクール」内の学童クラブ事業の質の担保は確実になされなければなりません。 

改正児童福祉法の適用外としてこの「すくすくスクール条例」を制定するのであっても、児童福祉の観点は外してはならないものだと考えます。民間が行う事業であれ、区の単独事業であれ、学童クラブ事業は児童福祉法の規定と切り離してはならないものです。福祉的要素を含み、生活の場を謳っている、国の「放課後児童健全育成事業」の役割を果たす「すくすくスクール」であるべきです。

また、これまでの「学童クラブ事業条例」を廃止し、このような「すくすくスクール事業条例」にしていくことは、普遍的な、子どもの成長に加え、今後、子どもを産み、育てる若い世代が社会で活躍していくことにもかかわる極めて重要な事柄でありながら、事前に議会にも関係者にも知らされていませんでした。事業に関わる関係者や保護者、区民も含めた慎重な議論、また、パブリックコメントを行うなどして、丁寧に進めるべきところ、それを行っていない区の姿勢は問題であり、少なくとも、「児童福祉法の趣旨を踏まえる」という文言はあるべきです。よって、第74号議案「すくすくスクール事業条例」に反対するものです。議員各位のご賛同をいただきますようお願い申し上げます。

  結局、審議も不十分なまま諮られ、反対6(生活者ネット・共産・えどがわ区民・青空)、賛成35(自民・公明・民主みんな維新・日本)により、可決してしまいました。