東京オリンピックの環境アセスメントに求めるもの~東工大大学院研究室調査に協力しました

 6日、江戸川ネットに、東京工業大学大学院 総合理工学研究科 環境理工学創造専攻、村山・錦澤研究室から、錦澤滋雄准教授をはじめ、6名のみなさんが見えました。 

 村山・錦澤研究室では、環境計画・政策研究を専門とし、持続可能な社会づくりのあり方について、環境アセスメントや市民参加の研究をされており、東京オリンピック・パラリンピックに対する環境アセスメントの特徴を、会場選定や情報交換、関係者のコミュニケーションの観点から研究される中で、江戸川ネットをヒアリングの対象に選ばれたといいます。 

  主な項目は、①江戸川ネットという組織について②葛西臨海公園のカヌー場建設について③東京オリンピック・パラリンピックに対して行われている環境アセスメントについて、です。 

 東京都環境局では、昨秋から今夏にかけて、すべての会場、競技及び全体計画を対象に実施段階環境アセスメントを行っており、今年度中に「基本計画」をつくることになっています。2015年度に「基本設計」、16年度に「実施設計」をつくり、17年12月に工事開始が予定されています。 

 この過程で、環境アセスの評価は設計に反映されるのか? 

 実は、オリンピック関連の環境アセスメントは、都の環境影響評価条例では対象とならず、「東京大会EIA指針」に基くもの。東京都でも初めての事例です。* EIA・・・Environmental Impact Assessment

 「2020 年東京オリンピック・パラリンピック 環境アセスメント指針」の実施手順(P5)によれば、このアセスの評価書が出されても、広く市民に向けて、その説明や、それに対するパブリックコメントの募集などはありません。この審査は東京都環境局長が行い、「2020年東京オリンピック・パラリンピック環境アセスメント評価委員会」が専門的な検討をすることになります。 

 葛西臨海公園のカヌー施設建設になぜ反対するかは、江戸川ネット機関紙「それゆけ!レポート」HPですでにご報告してきたところですが、実際の環境アセスは、そこでの実施を前提に、いかに環境負荷をかけずに行うか、ということ。立候補の際、都は「環境を優先する2020年東京大会」「自然環境と文化遺産の特筆すべき特徴の保護及び強化」「自然と共生する都市環境計画」や「水と緑の生物多様性に関わるプロジェクトの普及・発展」などの実現を高らかに述べています。こうしたことが実現するよう、今後も市民のチェックが必要であり、そのためには、環境アセスについての都による情報公開と説明責任を求めていかなければなりません。