命がけのエネルギーはいらない!

5.30「それゆけ!タイム」報告

日本は、国の政策として原子力エネルギーを必要不可欠なものとして推進しています。しかし、原子力発電所の安全など、何一つ保障されたものはありません。いったん事故が起これば、周辺の人々をすべて危険にさらす放射能の恐怖。しかも、おとな以上に子どもや赤ちゃん、胎児と命が若いもののほうがはるかに大きな影響を受けるのです。東海村の事故やチェルノブイリの事故から、私たちは何を学んできたのでしょうか。
江戸川ネットでは脱原子力エネルギーとして持続可能な自然エネルギーの推進などを政策として掲げ、活動しています。今年はチェルノブイリ事故後20年であり、国内では六ヶ所村再処理工場でついにアクティブ試験が開始されてしまいました。5月30日に開催した「それゆけ!タイム」では、原発の問題を取り上げ、田中優氏を講師に迎え、さまざまな情報を提供してもらい、エネルギーシフトについて話し合いました。
最初に上映したのは『ザ・サクリファイス(犠牲者)』。これは、事故処理作業者(リクビダートル)の過酷な現実を記録したフィルムです。チェルノブイリ事故直後、大勢の軍隊、消防員が事故処理に当たり、石棺建設が始まってからは「愛国的労働者」が全国(当時ソ連)から集められ、作業を行いました。その総数は60万人から80万人といわれ、彼らはその後の補償もほとんどないまま、体に変調をきたし絶望の果てに死亡しているのです。被曝した彼らの子どもたちへの影響、汚染地域に500万人もの人々が暮らし続けている現実、チェルノブイリ事故はまだ終わっていません。
田中優氏からは、六ヶ所村再処理工場の運転でもたらされる日本列島への放射能汚染と、巨大な権益を伴って邁進する日本の原子力界の問題、省エネを有効に進め自然エネルギーを組み合わせることで、すべての原発がなくなったとしても快適な暮らしができることの可能性を話してもらいました。六ヶ所村の工場から出される放射能は通常の原発一基の365倍です。海岸から50M離れた所から放出する汚染廃液は津軽暖流に乗って三陸海岸へ流れます。大気に放出されたものはヤマセに乗って青森県に限らず、かなり広い範囲に流れていきます。私たちの食卓を豊かにしてくれているさまざまな魚介類、農産物が汚染を免れません。もちろん、青森の人びとへの健康被害、特に子どもたちへの影響が心配です。
命がけのエネルギーは要りません。日本のエネルギーをリスクの少ないものにシフトしていくにはどうしたらよいか。実は方法はいくらでもあるのです。正しい情報を得、電気を消費する私たちが声を上げて、命や命を作る生産物を守らなければなりません。

この日の田中優氏の講演を撮影し、CD-Rにしています。ご希望の方は江戸川ネットにご一報ください。
『ザ・サクリファイス』は原子力資料情報室http://cnic.jpから購入しました。