「戦場に送られるのは誰?~集団的自衛権とは何か」前田哲夫さんに学びました
8月27日、江戸川・生活者ネットワーク主催、それゆけ!タイム「安倍首相が語らない『集団的自衛権行使』の真実」(講師:鈴木篤弁護士)につづき、30日には、江戸川ネットも参加している「江戸川憲法を読む会」が主催する、前田哲夫さん(軍事ジャーナリスト)による講演会「戦場に送られるのは誰?~集団的自衛権とは何か~」が行われました。
その中では、集団的自衛権行使容認についての閣議決定全文からでは、一般市民にはその内容がなかなか読み取れないことから、その説明を伺い、さらに、市民として何をチェックすべきかなどが確認でき、とても参考になる講演だったと思います。
以下、報告します。
集団的自衛権とは、国連憲章51条で定められる「自衛権」であり、古来では、戦争を前提とした「攻守同盟」のことである。第一次世界大戦から第二次世界大戦に至るまでの状況を見ると、同盟は戦争を抑止するのではなく拡大していくものであり、集団的自衛権は、大国による戦争の口実だった。ひとつのテロ事件が、地域戦争となり世界大戦へと発展している。
集団的自衛権行使容認が閣議で決まり、これを具体化するために次の臨時国会または通常国会に提案される法律こそが、実際に行使するための中身として重要なこと。自衛隊法、PKO協力法、国家安全保障基本法などの法整備が必要となる。
それ以前に注目すべきことは、今現在、国の予算編成に向けた概算要求が出されているが、防衛省の予算は総額101兆円のうち約5兆500億円に上っている。
ドイツ、フランス、イギリスの軍隊と比較して、自衛隊の現役人員数24万7150人はどこより多い。
第二次世界大戦までは、互いに戦争状態にあったヨーロッパの国は、冷戦後、「通常戦力削減条約」を締結して、軍縮が実行されており、軍事機器などの削減に努めている。
2年毎に行われる、内閣府による「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」から見ると、自衛隊が存在する目的、今後力をいれていくことについて、常に、国の安全確保より災害派遣が上回り、国民が望む自衛隊は災害救助が第一の役割と考えていることがわかる。
さまざまな事実を知れば知るほど、日本が軍備強化をすすめ戦争ができる国にしていくことにつながり、平和主義とはまったく逆方向に向かっていくことになるのではと感じざるを得ません。なぜ、ヨーロッパに習い、アジアの国々の中で信頼関係を築く動きができないのかも疑問です。集団的自衛権という言葉だけではなく、誰もが、その内容が何を意味するのかを知るべきだと実感しました。
江戸川・生活者ネットワーク 代表 藤居阿紀子