杉田敦さんを講師に東京ネット講演会「市民政治を拡げるために」開催
東京・生活者ネットワークでは、15日(木)、政治学者で、法政大学教授の杉田敦さんに、「市民社会を強くする!~市民政治を拡げるために」をテーマにご講演いただきました。江戸川からは、新村いく子区議と政策担当のメンバーが参加しました。
杉田さんは現在、朝日新聞紙面において、長谷部恭男早稲田大学教授とともに、昨今危ぶまれる政治のあり方について連続対談をされ、警鐘を鳴らされています(直近では、5/3付け、「解釈改憲『法の支配』危機」)。
また、私たち、生活者ネットワークは、身近な議会に議員を送り出し、市民の代理人として議会活動を行うと同時に、重要なテーマについて、市民が直接意思表示する機会として、住民投票についても取り組みを進めてきていますが、杉田さんは、「みんなで決めよう!『原発』国民投票」の代表も務められています。
杉田さんはまず、政治改革の問題点として、①長すぎた保守政治と政権交代への過剰期待②硬直的なマニフェスト論③「政治主導」をめぐる誤解 を上げられました。
政治腐敗や政策定行き詰まりは政権交代ですべて解決できるか? 選挙制度改革で政権交代が可能になるか?
「かつての中選挙区制は、派閥の弊害はあったにしても、首相と違う有力者がいることにより、それぞれが意見を言い合えたが、小選挙区制により、力が一元化された結果、権力の集中を招き、より弊害が大きくなっている」と指摘。
また、マニフェストについては、「その公約どおり実施するだけなら、もはや議会での審議は不要となり、首相を選んだ時点で議会はお飾りになる。」とし、マニフェスト違反への過剰な批判は議会不要論につながってしまう、と懸念を示されました。
政治主導については、政治家と官僚が、それぞれの陣地を増やしたり減らしたりという次元ではなく、「権力は引き算ではなく掛け算である」と。
安倍政権の問題点については、①第一次安倍政権との連続性②民主党政権との連続性③権力の独善性 を上げられ、選挙で選ばれたことに依拠し、自らが民主的権力であることを強調することにより、議会や内閣法制局、また司法をも含む重要な機関などとの調整を軽視する姿勢を大きな問題点として強調されました。民主党政権の向うを張る、権力を集中した「決められる政治」は、安倍総理や橋下大阪市長などが好む手法ですが、「政治のスピードアップ」により、権利や原則が喪失されることがあってはなりません。
憲法改正の機運を視野に、そこへつながる第一歩として、景気の回復を目論んだものの、大企業支援だけでは国内に富は還流せず、アベノミクスは行き詰まりを見せています。
権力者個人の嗜好テーマではなく、現状における政治の優先課題を明確にし、治安主義的な安倍政権を停める取り組みが求められます。
「安心して働ける雇用環境」を生み出し、「地域間格差を視野に入れた地方分権の可能性」を探り、「公共事業頼みの保守政治とも、新自由主義とも違う経済政策をどう打ち出すのか」が問われています。
生活者ネットワークについては、「従来型の政治が避けている争点を、政治の場に引き出している」点を、評価していただきました。
今後に向け、杉田さんも指摘された「働く」ことについて、生活者ネットワークでは、若者(15歳~39歳)に向けたアンケートを、今月から9月にかけ、オール東京で実施していきます。江戸川では30人の方々に、丁寧な聞き取りをさせていただきますので、その際には、ご協力をよろしくお願いします。