電力学習会  ~電力自由化とエネルギー政策~

講師の奈良さんの話を熱心に聴く参加者

講師の奈良さんの話を熱心に聴く参加者

東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故で、東京に住む私たちの電気が、遠く離れた場所にある原発に依存していることを改めて確認しました。また、電気料金には、使用済み核燃料の再処理に備えるため、その再処理後に発生する高レベル放射能廃棄物いわゆる「核のごみ」のために東京電力が積み立てている原子力発電所関連の費用が含まれていることも知りました。

2016年4月から、一般家庭、商店などが大きな電力会社だけではなく、特定規模の電気所業者からの電気を買うことができる「電力自由化」が始まりました。このことにが、日本のエネルギー問題や地球温暖化問題とどのような関わりがあるのか、基本的なことを学ぶ機会として「電力学習会」を企画しました。

1月12日に開催した「電力学習会」では「NPO法人 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」代表理事 奈良さんのお話を聞きました。現政権のエネルギー政策が地球温暖化対策に消極的であり、原発は温存し、再生可能エネルギーの導入を阻むものになっていることが指摘されました。日本の温室効果ガスは減っていますが、これは原発が稼働したからではなく、省エネの意識により、家庭においても産業分野においても電力消費量が減ったこと、電力買取り制度が導入された再生可能エネルギーによって電力を生み出すシステムが変化したことが主な原因だということです。

日本の電力需要は2015年で約8000億kWh、再生可能エネルギーは、たとえば、建設できれば、風力発電だけで3.8兆kWhの発電が可能であることが、2009年の環境省の調査で明らかになっています。しかし、現政権は2030年の電源構成を再生可能エネルギー24%、原子力発電22% 、石炭火力26%、天然ガス27%などとし、相変わらず原発依存の政策をすすめようとしています。

NPO法人「足元から地球温暖化を考える市民ねっとえどがわ」が設置した区内3番目の太陽光パネル

「NPO法人 足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」が設置した江戸川区内3番目の太陽光パネル発電所

電力自由化をきっかけに、たくさんの新電力会社が登場しています。しかし、電力会社を変えた世帯は全国平均でも3%足らず。そのうち6割が東京電力管内、3割が関西電力管内です。地方には選択できるほどの電力会社はそろっていない、逆に私たち東京電力管内に住む消費者は、新電力会社がたくさんありすぎて、どこを選べば良いのか決めかねている状況です。新電力会社には、現在、既存の大手電力会社系、他エリアの大手電力会社が参入する他電力系、天然ガスや再生可能エネルギーなどを使用する独立系、自治体や市民が独自に作りだした再生可能エネルギーを中心に供給する市民再生可能エネルギー系の4タイプの電力会社があると紹介してくれました。

電力会社の電源は何か?その電気がどこで作られているのか、電力自由化になった今、しっかり情報を得て、再生可能エネルギーの電源割合を増やす努力をしている電力会社を選び、消費者としての目線で応援していかなければならないと考えています。