「江戸川区個人情報保護条例の一部を改正する条例」について反対討論を行いました~第2回定例会報告

2015年7月7日 17時26分 | カテゴリー: トピックス

第二回定例会最終日の7日、伊藤ひとみ が「生活者ネットワーク」を代表し、反対討論を行いました。以下、全文を掲載します。 

****************************************

 私は、「生活者ネットワーク」を代表し、第31号議案に反対の立場で討論を行います。  

この条例の改正は、2013年5月に公布された「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、以下「番号法」とさせていただきますが、これにより、地方公共団体が必要な措置を講ずるために条例改正が議案として提出されたものであることは承知しています。これまでの「個人情報」の中に、法に定められた「個人番号を含む個人情報」いわゆる「特定個人情報」を定義するための措置であり、条例文に追加すること自体は自治体として必要な対応であるという認識をもっているうえで討論させていただきます。  

まず、この条例改正が必要となった「番号法」について、私たち生活者ネットワークは、危惧しています。法律の基本理念には、「個人情報の保護に十分に配慮しつつ、社会保障と税、災害対策に関する分野における利用の促進を図るとともに、他の行政分野及び行政分野以外の国民の利便性の向上に資する分野における利用の可能性を考慮して行われなければならない」とあります。もともと、社会保障と税の一体改革の議論から始まってはいますが、当初とは実質的に異なった形となっており、「社会保障」と「税」に関してのみ番号が利用される制度ではなく、将来的には、法律の名前が示す「行政手続き」だけではない仕組みになりうることも認識しなければなりません。法改正する、あるいは自治体が条例で定めることで範囲はいくらでも広げられることになります。 

現在、国会での審議がストップしている「改正番号法」には、私生活に入り込む内容の拡大が示されています。金融機関に対する社会保障制度における資力調査や税務調査、また、健康保険組合等が行う被保険者の特定健康診査情報の管理や、予防接種履歴を自治体間で共有する、などです。  

「税」と「社会保障」のため、と言えば聞こえはいいものの、「税」と「社会保障」に絡めれば、これまで個人情報として保護の対象となっていたものが、全く逆の状況にさらされることになります。「消えた年金」などという事態が2度と起こらないようにとの当初の目的とは、現状においても、様変わりしていると言えます。番号は「手段」であり、「市民生活が便利になる」部分もあれば、使い方によっては人権侵害につながることもあり、生活がもっと不便になる可能性も考えられます。「増大する社会保障費問題への解決につながる」ともされていますが、これはそもそも「社会保障」としての問題であり、番号制度で解決されるものではありません。  

そして、こうした情報は、行政の管理下にあると言いながら、漏えいし、悪用される可能性もはらんでいることは否めません。  

総務委員会議案審査の際には、直近で大きな社会問題となった「日本年金機構の情報流出のようなことは起きないか」という懸念が示されました。「情報系システムに個人情報がコピーされていたことにより起きたもので、番号法のしくみとは次元が違う話」との答弁がなされました。しかし、端的に言えば、業務手順の間違いによって起きたことであり、今後、個人番号についても同じことが起きない保証はありません。個人情報流出事件は繰り返されており、そのたびに反省がなされ、教訓を踏まえた対策が強化されているにも関わらず、なくなることはありません。行政の情報管理に対する国民の不安や疑問は増すばかりです。  

また、生活者ネットワークは、昨年10月の決算特別委員会で、この個人番号制度の実施にあたり、条例改正の必要について質問したところ、「個人情報管理に関することという所掌範囲が条例に明記されているので、条例改正の必要はないと考えている」とのお答えでした。しかし、国は、地方自治体に対し、必要に応じて「個人情報保護条例の改正をすべきである」と説明をしてきています。市民生活に大きな影響を及ぼす番号法への対応について、わずか半年前ですら見通しを立てられなかった区の姿勢には問題があると考えます。  

区民は、この制度について、充分な理解に至っておらず、江戸川区の今後の対応によっては、個人番号がどのような分野で使われていくのかわからないままに、手続きだけが進んでいくことを懸念するものです。区は、このたびの改正以外に、新たに個人番号を独自に活用するための条例を作るとのことですが、そうであるならば、少なくとも、この条例の改正と新たな条例を同時に示す姿勢が必要ではないでしょうか?今議会で、この条例改正だけを提出することもまた、時期尚早であると考えます。  

以上、申し上げましたが、要は、個人番号の稼働により、これまで守られていた個人の基本的な権利・利益が侵されないか、国民を守るものであるはずが、行政の効率化に力点が置かれてしまっていないか、こうした不安を払しょくすることができない今、本条例改正に明確に賛同することはできないと考え、反対するものです。議員各位のご賛同をいただきますようお願い申し上げ、「生活者ネットワーク」の反対討論を終わります。

*改正案は、反対 7(生活者ネット・共産党)、賛成 36(自民・公明・民主維新未来・無所属)で可決されました。