「安倍首相が語らない『集団的自衛権行使』の真実」~8月「それゆけ!タイム」報告

集団的自衛権行使容認や特定秘密保護法など、憲法を泥足で踏みにじる暴挙に突き動かされ、7月、「わたくしは日本国憲法です。」を出版された鈴木篤弁護士。

 江戸川ネットミニフォーラム「それゆけ!タイム」を、27日(水)午後7時から、タワーホール船堀で実施しました。

 今回のテーマは「安倍首相が語らない『集団的自衛権行使』の真実」。安倍政権が7月1日に閣議決定した集団的自衛権行使とは何か、政権の本当の狙いはどこにあるのかについて、平和問題について積極的に発言されている鈴木篤弁護士にお話しいただきました。

 今回の閣議決定は日本国憲法の平和主義を踏みにじるものだとする鈴木さんは、まず、憲法の平和主義について解説されました。多くの人は平和憲法と聞くと、戦争放棄をうたった第9条を思いつきますが、憲法の平和主義を構成するのは第9条と前文にあると鈴木さんは言います。前文は、全世界の恒久平和のために、専制や圧迫、恐怖や隷従を無くさなければならず、日本はその実現に向けて先頭に立つ、としています。つまり積極的に平和に貢献しようと宣言しているのです。しかし、この前文について歴代政権は意図的に黙殺してきました。

 一方、憲法第9条にうたわれている戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否定は憲法発布後わずか5年で、自衛隊の前身である警察予備隊が作られ、自衛権は否定されないとの政府答弁が出されます。そして、自衛権の発動要件を示した1972年政府見解が維持されてきました。それは、他国からの武力攻撃によって国民生活が根底から覆される事態が起きたら自衛権を行使できるとする「専守防衛論」です。しかし、小泉政権時代に行われた周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法といった一連の法整備によって、国外の有事に対する関与や他国の部隊への攻撃に対する武器使用が認められ、この専守防衛論も中身をズルズルと変えさせられてきました。鈴木さんは「憲法の平和主義は、今回の閣議決定に至るまでにガタガタにされてきたのだ」と言います。

 そして、この閣議決定をめぐって安倍首相がたびたび口にする積極的平和主義という言葉は、これまでの専守防衛論を消極的であるとし、攻撃されないために先制攻撃を認めるものだと断じました。集団的自衛権の行使要件として挙げられている、日本と密接に関係ある国が攻撃された場合、明白な危険がある場合について、密接な関係とは定義があいまいで、政府が明白な危険があると判断すれば攻撃できることになります。また、必要最小限の武器使用と言いながら、相手の武器に比例して行使できる武器使用を認めた警察の原則によるとしており、これでは相手がミサイルを持つなら、日本側もミサイルで対抗できることになってしまいます。無原則に武器使用を認め、先制攻撃を辞さないとする本音が隠されているのです。

 もし武器が使用されたら、憲法の平和主義があるから日本への武力攻撃は止めようという関係国の了解は吹っ飛び、日本は戦争をする国だと認識され、戦争に巻き込まれてしまうでしょう。

 鈴木さんは、これから想定されることとして、専守防衛論に立ってきた自衛隊法など関連法規の改正や海上保安庁・警察・地方自治体に対する連携強化、直近では通信傍受(盗聴)法の改正や共謀罪の制定などがあるとしています。すでに制定された特定秘密保護法では、特定秘密を手に入れようと共謀することが罪になるとしており、憲法の平和主義を教えることが偏向教育であると政治が介入してくることを含め、集団的自衛権の行使に向けて大きな動きになりつつあるとしました。そのうえで、これらの動きを見極めながら動いていかないと、戦争に巻き込まれる戦前の体制になりかねないと警鐘を鳴らします。

 質疑応答では、市民として何をすべきかについての問いが相次ぎましたが、鈴木さんは「選挙で安倍政権を覆すには頼りになる野党がない政治状況の中で、今回の閣議決定の持つ危険性を分かりやすく伝えながら運動を大きくしていく必要がある。『戦争をしないだけで日本を守れるのか』との問いに対して憲法9条だけでなく憲法前文の精神を含めて伝えていくことがポイントであり、そうしたことを伝えられる手段は情報操作されたマスコミではなく、フェイスブックなどのSNSではないだろうか」と述べられました。

 今後、この閣議決定後に基づき、集団的自衛権行使への協力に向けた動きが加速すると思われます。すでに自衛隊入隊を進めるパンフレットが高校生に送られたり、アイドルを使ったPRも始まったりしています。さらに、文部科学省の会議では、奨学金返済に苦しむ学生の対策として自衛隊への入隊を進めるべきとした意見が財界から出てきました。安倍政権は経済成長のフロンティアとして軍需産業に目を付け、その障害となる憲法を変えようとしているのではないでしょうか。私たちは、持っている表現手段を駆使しながら、こうした動きにNOの声を挙げていかなければなりません。江戸川・生活者ネットワークも区内外の様々な団体と連携しながら、戦争をできる国にさせないための活動を続けていきたいと思います。

平日の夜にも関わらず、38名の参加が。

江戸川・生活者ネットワーク運営委員   山崎求博